2007年06月26日

暑さ寒さとつきあう知恵 

東京の気候風土

私が生まれ育ち、今も生活をしている場所は東京です。地方の仕事も多いので、その土地の気候風土に根ざした民家の作りなどを参考にして設計に取り組んでいます。
(写真は屋久島の家です)

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しかし、逆に東京はどちらかと言えば気候風土としては厳しくはなく、それよりは密集した狭い敷地で、周辺や隣家との関係の中で、いかに採光通風を取り込みながら、より広く空間を使い、あるいは広さを感じさせるかが設計者の腕の見せ所となっているのではないでしょうか。

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気候風土が一番きつく感じられる季節

とはいえ、このように地球規模で温暖化が進んだ今、特に夏の都市部はアスファルトの道路、コンクリートの固まりの建物などが蓄熱し、また空調機その他による廃熱で年々気温が上がっていることをひしひしと感じます。やはり、一番つらいのは夏でしょうね。今や皆、夏を旨としないエゴな(設備に頼り、高気密高断熱な)住宅でそれを乗り越えようとしているのが実情だと思います。

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気候風土に関して一番気を配っていること

東京で心地よく暮らすには、猫の額のような自分の敷地だけではもはやどうしようもないと思っています。周りの環境がより改善されない限り、東京生活の未来はない(!)のではないかと。つまり、一つの住宅から始めて周囲へ、街へ、東京へ、日本へ、地球へとつながっていく、そんな気持ちで提案をしていきたいと思うのです.今、東京で一番気を配っていることは夏場の外気温を下げ、東京の空気をきれいにすること、風の道をつくること、水を土に帰してあげることでしょうか。

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住み心地のいい室内環境を作るためにくふうしていること

昨年竣工した「武蔵野・草屋根の家」は東京でできるエコライフのために今考えられることを一通り(しかも限られた予算で)試してみた住宅です。以下、ポイントを箇条書きにします。

・ 草屋根 断熱材でもあり、屋根面から外気への輻射熱も押さえます.

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・ 伝統構法 国産杉材をつかった貫構造 土壁実現のためにも必須

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・ 竹小舞下地に土壁 現在きちんとお伝えできるデータがそろっておりませんが、温湿度調整をしてくれる「働く壁」と私は呼んでいます.土壁に付いては「耐力壁」としての機能を主として考えられる方、土壁の質感やナチュラルなイメージ素材として扱われる方など多様だと思います。私にとっては土壁こそ住み心地の良い室内環境をつくってくれる最高の素材ではないかと思っています.

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・ 焼き杉の外壁 お施主さんの要望のひとつでもあったのですが、私も板壁は木造住宅には一番合っていると思っています.土壁にすることで準防火地域でも(高価な防火処理をした木材を使わずに)下見板張りとできるのはうれしいこと。草屋根と同様、蓄熱輻射のすくない外壁材ではないかと思います。通気層をとり、土壁の外壁側に断熱材を入れることで直に土壁が熱されることは防いでいます.

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・ 緑のカーテン 昔から日本家屋の夏の風物でもあったわけですが、今は小学校の教室を涼しくするために大人気。窓の外で日射を防ぎ、植物の葉の蒸散作用で涼風を取り込む.これを庭側の開口部に設置。昨年はゴーヤが豊作でした。

・ その他、雨水利用、通風と風の流れをつくる植栽計画、冬はコンパクトに、夏は開放的に暮らすプランニング、などなど。

家の住み心地に付いて、お施主さんからのコメント
 
そのうち、ご登場いただけるようお願いしてみましょう。

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posted by mikihayashi at 14:30| Comment(0) | TrackBack(0) | 木の家のはなし | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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