オープンハウスの際に、何枚かの写真を飾らせてもらいました。
これは、その1枚。撮影はヒデくんです。
夕闇が迫る中、お施主さんと現場に脚立をたて、その上に乗って2階から見える風景を確認したときのもの。
葉山一色の家の建て主さんは、設計が始まると現場近くに引っ越しされました。
週末になると敷地に立ち、土地の特徴、つまり太陽の動きや風、音、そして風景の見え方などを確認されたといいます。
90年代イタリアにいた時、パラディオセンターの講座を受講しました。その中で「今、建築史研究は、建築家本人や社会の他に、クライアントに注目している。」と著名な歴史家の先生が話していたのを思い出します。
クライアントとの関わり方で、最終的に出来上がってくる「建築」に大きな差があるというのです。
現在においても、こうやって職人さんによって作られる「家」は、この土地に生まれる唯一無二のもの。
その中で、建て主さんの「思い」は「家」の方向性を決める重要な力であることには変わりありません。
工務店さん、あるいはハウスメーカーさんにお任せであっという間に出来てしまう住宅も多くあります。
こうやって、設計者や職人さんと一つ一つ決めながら、建てる家は時間かかり、大変なエネルギーも使います。
しかし、職人さんというものは、お金のためだけに仕事をしているわけではなく、つくることを愛し、つくったものを誇りに思い、依頼主に喜んでもらいたい、そういう人たちだと思います。
今回も、所々で、施主参加の工程がありました。
竹小舞かき、撥水材塗布など。
もちろん、作業に参加すると共に作ったという良い思い出にもなります。
けれども、共働き、働き盛りの葉山一色の家のお施主さんは、気持ちは参加されたくともなかなか難しかったようです。
その中で現場の私たちに、心配りともったいない程の賞賛の言葉をかけて、常に心を共にして現場を作り上げてくださいました。
職人さんたちは、すっかりお施主さんにのせられた、、、いえ、思いっきり仕事をさせて頂けたと思います。
これぞ、「施主の力」。
こんな、素敵な縁に感謝、感謝。
そして、お施主さんにも、心からありがとうございました、とお伝えしたいと思います。
ラベル:家づくり 伝統 木の家