前回のブログでも触れましたが、今日は小出裕章氏講演会「山梨と福島はつながっている 子どもの未来のために知ってもらいたいこと」に参加したときの報告です。
長文ですが、どうぞおつき合い下さい。
2012年1月8日、甲府のコラニ−文化ホールは満席でした。
2000席の大ホールです。
開演前のロビーでは、自然食品などの出店が出て、大賑わい。
これらがすべて、子どもたちの健康と将来について真剣に考えたいと願う一般のボランティアによって運営されているというのは、驚きでした。
小出先生のプロフィールが紹介されました。
研究室でエアコンや照明も使わず、いつも自転車で通勤しているという先生は、自分の考えるところを生き方そのもので示されています。
「先生」と呼ばれるのが嫌いだそうで、私もこれから「小出さん」と呼ばせて頂きたいと思います。
1時間半の講演は、ずっしりと私たちの肩に重くのしかかるものでした。決して、明るい未来を語ってくださった訳ではありません。しかし、私たちを奮い立たせてくれるものであったことは間違いないと思います。
すこし、その内容をお伝えしましょう。
原子力発電所は実は「海暖め装置」である原発とは実に効率の悪い発電装置であり、生み出されたエネルギーの1/3しか電気にならず、残りは海水の循環により海水温度を7度上昇させている。
福島第1原発は、まだ大変危険な状態である4号機の使用済み燃料プールが、余震で崩れるようなことがあれば、大量の放射性物質が拡散する可能性がある。
原発マネーが過疎地を豊かにしたが、事故が起これば町も暮らしも失われる今も、家畜はそのまま放置されている。いつ帰れるのかわからない、そんな土地を作ってしまった。
福島第1原発の事故による大気中に放出されたセシウム137の量は、広島原爆の170発分。特に、2号機からの放出量が多い。このデータは政府がIAEAに報告したもので、実際は更にこの何倍かであると言われている。また、これは海や地中への放出量を含まない。
現在6万ベクレル/u以上の汚染地域が関東にも広がっている放射線を扱う研究所では、4万ベクレル/uであれば放射線管理区域となるのだから、これらの地域はそれほどまでの汚染があるということである。それを放置している国の現状。
放射線被爆による危険度は年齢によって大きく変わる原子力を選んだことに責任のない子どもたちを守らなければならない。東電や政府の責任は重いが、それらを容認してきた我々大人にも責任はある。
子どもは被ばくによる影響が大きいので、出来る限りそれらから避けなければならない。しかし、ここまで汚染が広がってしまった以上、まったくクリーンな食べ物はない。年齢が高くなると危険度は下がるので、食物に含まれる放射性物質をきちんと測定し、汚染の度合いによって、食べてよい年齢指定(R指定)をしたらどうか。
除染はできない。汚染を移動するだけ一度つくられた放射性物質を消すことはできないので、除染といっても汚染物質を移動するだけのこと。ガレキもしかり。しかし最終的にはその放射性物質は東電の所有物であるから、東電に返すべき。今後、福島第1原発を石棺で覆うなら、それに焼却灰をつかえばよい。
厖大なエネルギーを使い始めたのはほんの200年前から地球の、そして人類の歴史からすると、極々最近急激にエネルギーを消費するようになった。人間のエゴによって、すでに多くの生き物を絶滅に追い込んでいる。
原子力発電がなくても、電力は足りているしかも、稼働していない火力、水力などもあるので、原子力発電をやめると電気が足りなくなるというのは詭弁である。
代替エネルギーを語る前に、エネルギー消費を少なくする生活へ人類は、原子力で地球を放射能で汚染し、地球がつくりあげた資源を浪費している。地球の夜景をみると、日本は際立って明るい。便利さだけを追求してはいないか。
後半は、会場からの質問に小出さんが答えてくださいました。
その中で印象に残った質問にこんなのがありました。
「汚染された食物は年寄りが引き受けるとしても、排泄物や死んでからも火葬されて放射性物質をふくむ灰になるわけで、こども達を助けることにならないのでは?」
「確かに、一時的に放射性物質を引き受けるだけで、なくすことにはなりません。しかし、子ども達を守り、未来に繋げるためのひとつの方法です。とにかく、世界中の原発を今すぐにも止めないといけません。」
今、こうしている時も、新たな放射性物質が世界中の原発で作られています。この先、これらの廃棄物をどうやって処理したらいいのかもわからないままに。
講義の内容は、情報としてはある程度知っていたものではあります。しかし、小出さんのお話を聞いて、危機感を強めたというよりは、とにかく今すぐでも行動しなければと、背中を押されたような気がします。
正しい情報を得て、しっかり判断すること。小出さんのお話の内容を出来るだけ多くの人と共有し、片付けられないゴミを未来に残さず、エネルギーを浪費しない生活を実現するために、行動して行こうと意を新たにする機会となりました。
なお、この日の講演は14日(土)20時からUstreamで配信されます。詳しくはこちらをご覧ください。
https://www.facebook.com/datsugen.yamanashihttp://datsugen-yamanashi.org/ust
posted by mikihayashi at 15:37|
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