2020年11月03日

杉を巡る旅  杉岡製材所

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何ヶ月ぶりでしょうか、飛行機に乗りました。
泊まりがけで出かけるのも、2月末の裏磐梯以来です。
向かった先は、福岡・朝倉にある杉岡製材所です。
ここには、「杉博士」が居るんです!


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こちらがこの製材所の代表をされている杉岡世邦さん。

たまたまつなが〜るズの平山さんが取材に行くと聞き、無理やりお願いして、私と神田さんで便乗させていただきました。


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この日は、取材用に、わかりやすいように何種類かの木取りパターンが用意されていました。

木を割くと、内部応力が解放されて反りが出るということも、説明を受けました。
例えば1枚目の写真は、2つに割っただけでこれだけの反りが出るということがわかりますね。


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明るいうちにと、杉岡さんが私たちを山に案内してくれました。
ここは、杉岡さんのお祖父様からの植林地。
ところが、九州北部豪雨の際、土石流で大きな被害を受けました。
子供の頃からお祖父様と一緒に見に行っていた杉の大木も流されてしまったそうです。

今も、その爪痕がくっきりと残っていました。


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針葉樹林というと、暗いイメージがあるかもしれません。
でも、案内していただいた森は広葉樹が混在し、足元まで光が届きます。


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英彦山(ひこさん)に、修験道で入る修行者たちが奉納で杉を植えたといわれているそうです。
その杉が、いまや樹齢200年を超える大木に育って居るとか。


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ガイド中の杉岡さん!

そして、さらに山に入って行くと、、、



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現れたのは「鬼杉」です。
樹齢1200年と言われています。

杉岡さんは、節目節目にこの杉参りをされているそうですが、圧倒的な存在感。


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写真を撮る背中に、その時のみんなの気持ちが現れますね。


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霊気溢れる洞窟とともに、古から祈りの場であったこと想像できます。



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そして製材所に戻って、敷地内にできたばかりの「方丈板倉 斎」を案内していただきました。



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崇高な、しかし方丈の小屋。



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中に置かれた像は、九州北部豪雨で流されたクスノキから掘られています。


「方丈板倉 斎」については、私が説明するよりも、杉岡さんがブログで語られていますのでこちらをご覧ください。

http://www.sugiokatoshikuni.com/?m=202010


私は1日かぎりの短い時間でしたが、杉によって清められ、心穏やかに東京に戻ることができました。

ありがとうございました!


#杉岡製材所
#行者杉
#鬼杉
#方丈板倉 斎






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2016年05月30日

「木の家をつくる、木の家に暮らす」セミナー開催! 

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5月14日(土)、木の建築フォラム主催の「木の家をつくる、木の家に暮らす」セミナーの第1回目を開催しました。

この日は山林体験。
武蔵五日市駅で集合し、いざ西多摩の山へ。



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この日は、日の出町にある浜中材木店の浜中さんと石井さんにご案内いただきました。
多摩産材はこのあたりで育った木です。
案内して頂いたところは、舗装された林道沿いでしたが、結構な傾斜で手入れは大変そうです。


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少し山に入り、石井さんから下草狩りや枝打ちなどの山の手入れ方法について説明を受けました。



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実際には、この程度の高さであっても登って上から順番に枝を払うそうです。




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今はほとんどが小型のチェーンソーに代わって来ているそうですが、本来の斧の方が木にも優しいとのことでした。



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山歩きをしながら、スギ、ヒノキ、ヒバの見分け方なども教えてもらいました。
この日は、参加者の方に林学部出身の方がいらしたので、葉っぱを採取してその識別方法などの特別講義も!

ちなみにこれはヒノキです。裏の白い葉脈が「Y」の連続になっています。


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これはスギとヒバ。
ヒバとヒノキは見分けにくいようですが、葉っぱの先が尖っているのがヒバ。やや丸みがあるのがヒノキだそうです。それとヒバは葉脈が「W」のように見えますね。



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さて、昼食を取ってから、日の出山荘にて座学の時間。

この日は、神田雅子さんによる木の家のメリットや木材のつくられ方の講義。

さて、6月18日の第2回セミナーでは、製材の現場を見学します。

そして、次回の講義は私が担当します。
「樹種による違い、木の家の構成要素」などについてお話する予定です。


単発でのご参加も可能ですので、ご興味のある方は是非!



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2015年10月05日

ミニセミナー「ココロとカラダと地球に優しい木と土の家のつくり方」盛況でした!

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9月16日に続いて、10月3日(土)にも「ココロとカラダと地球に優しい木と土の家のつくり方」のミニセミナーを開催しました。

この日も、友人知人から、ポスターを見ていらした若夫婦など、Studio PRANAが大賑わいになりました。
ちょっと気温が高めで、扇風機を出して来たりと大わらわ。

まずは私が土壁や左官仕事の現場の様子をお話しました。


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後半は、左官の江原さんが、塗り見本と材料等を見せながら、様々な左官仕上げについて説明してくれました。

同じ土壁でも、土の色や苆の大きさなどで様々な表情になります。
例えば、向かって右側の土壁は、荒壁土の成分を混ぜ合わせたもの。時間がたつと酵素の働きで灰色がかった、侘び壁に変色するそうです。

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江原さんが土壁や荒壁に使っているワラスサは、なんと無農薬!
カモを育てている田んぼの稲藁を使っているそうです。



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この上品なグレーの仕上げも、自然な土の色。
浅葱色というのは、ネギの白から緑に変りかける部分、その微妙な色をさすそうです。
同じ浅葱土といっても、取れる場所によって随分違うようです。
この微妙な色土を混ぜ合わせて、何万通りもの土壁がつくれるんですね。



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これはちょっと変った土壁。古びた感じを出すために、色玉を混ぜたりしているとか。


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この他も漆喰や、土と漆喰を混ぜ合わせた半田、磨き上げた土壁である「大津壁」なども見せてもらいました。
皆さん、メモをとり、カメラを向けて、質問攻め。

短い時間でしたが、土壁の良さ、左官仕事の奥深さに触れて頂けたようです。

とても評判がよかったので、今後も、このミニセミナー続けようと思います。
次回は、棟梁に来てもらおうか、、と思案中。

乞うご期待!


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2015年06月08日

家の医者、住宅医の仕事

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最近、解体工事をしているところが多い様に思いませんか?
「空家等対策の推進に関する特別措置法」が5月26日にに施行され、今までは家が建っていれば更地の場合の1/6で済んでいた土地の固定資産税が、「特定空家」と認定されると更地と同じ税率になるようです。

それで空家を活用する方向へと、動き出しているならいいのですが、はたしてどうなのでしょうか?

さて、Studio PRANAで手がけた「高井戸の家」の敷地にも、実は空家がありました。

家主を失って、そのままになっていたのですが、最初に家族の方からご依頼を頂いた時は、家をリフォームして、ご高齢のお姉様お二人の住まいにしたいというものでした。



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そこで、私はまずは「住宅医」による調査診断をされることをお薦めしました。
「住宅医」というのは、㈳住宅医協会が認定している、まさに住宅の医者のようなもの。
私も1年のスクーリングと認定会という実際の改修事例発表会を経て「住宅医」となりました。

住宅医による調査は、10〜20名のメンバーで、床下天井裏などにも潜り、耐震性、劣化状況など様々な項目で診断をします。


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高井戸の家の調査報告書です。
かなりのボリュームになります。

人なら「人間ドック」に入るようなもので、これによってその住宅の構造から省エネ性能など全てがわかり、今後の「治療」とも言える改修計画が的確にできるようになるわけです。
調査は健康診断と同じ様に、耐震のみ、劣化のみということもできます。



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高井戸の家の場合、それらの調査の結果、増改築などによって構造的にもかなり問題があることなどが判明したため、結果としては建替えを選択をしました。

改修工事を選択する場合でも、総合的に住宅の状態をチェックすることで、予算をどこに重点的にかければ良いのかわかりますよね。


Studio PRANAは東京都の木造住宅耐震診断事務所にも登録しており、杉並区の特定木造耐震診断士としても登録しておりますので、杉並では助成金を使っての耐震診断と改修に対応できます。

耐震改修助成
http://www2.city.suginami.tokyo.jp/guide/guide.asp?n1=80&n2=150&n3=400


シェアハウス「CORE牛込若松」も空家の有効活用といえます。

Studio PRANAでは古い家の活用方法などもご相談にのります。
どうぞお気軽にお問い合わせください。

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2015年06月04日

昭和の住宅、仕舞いのとき 萩原邸

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「家を建てる、家を調べる、家を直す」ことは、いつも仕事でやっているのですが、
今回は「家を仕舞う」ことのお手伝いをするという、初めてのことに係わることに、、、

その家というのは、築57年になる端整な住宅。


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無栗のある大きな瓦屋根と、周囲に回された下屋が特徴で、大谷石が使われている玄関アプローチも実に魅力的です。


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南側の深い軒。出し桁は華奢で軽やかです。


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この家の持ち主の方が荷物を片付けていると、この住宅が掲載されている建築雑誌「建築界」と工事中の写真アルバムが見つかったそうです。

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設計者はT.Y.G建築研究会とあります。一体何者なのでしょうか?
当時の他の雑誌をあたったり、その時代のことを知っていそうな方に聞いたりしたのですが、未だ謎のまま。


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写真資料も大変貴重なものです。建前の写真には、桁の上にずらっと祝樽が並んでいます。


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門扉と低い大谷石の塀など、大変モダンな印象です。
敷石は鉄平石。私の実家にも以前ありました、、、


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大谷石はインテリアにも使われています。


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こんな懐かしいドアノブも残っていました。
手を入れる必要はありますが、まだまだ十分住めそうな魅力的な住宅。
活用の方法なども探りましたが、残念ながら6月一杯で解体することとなりました。



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家は大切に住んでくれる人があってこそ生き続けるもの。
家にも終わりの時が来るのは、しかたのないこと。
そうであれば、せめてみんなで丁寧に、この家を見送って上げようと、5月30日、31日とお別れ会を開きました。

エコハウス研究会の丸谷博男さん、遠藤新さんのお孫さんでもある建築家の遠藤現さんにもご協力頂き、まずは実測会とミニセミナーを開催しました。

武蔵野美大大学院の源先生にもご協力頂き、「遠藤勝勧さんの見る、測る建築@萩原邸」には学生さんが大勢参加。
杉並たてもの応援団の面々も、現況実測に参加してくれました。手慣れているのであっという間に図面ができていきます。流石ですね〜。

お施主さんは、BBQでみんなをもてなしてくださいました。


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翌日はお別れイベント。

練馬を歌うシンガーソングライター、谷修さんがギター片手に登場!
ローカルな街の風景を優しいメロディに載せて歌ってくれました。



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そして、丸谷博男さんが、この家との別れから生まれた詩を朗読してくださいました。
大槌町支援で集まった「ひょっこりどんぶりコーラス」のお姉様達の歌声やホルンの演奏。



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久しぶりに、大勢の人が集い、家も喜んでくれたことでしょう。

私もこの素敵な家との別れはとても辛いけど、長い間お疲れさま。
そして、本当にありがとう。


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ラベル:昭和の住宅 解体
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2015年03月13日

国立「旧高田邸」実測調査!

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先週日曜日、冷たい雨が降る中、国立「旧高田邸」の実測調査に参加しました。



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玄関ポーチのフランク・ロイド・ライト風なデザインが目を引きます。


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大正の「文化住宅」の特徴があるとか。


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窓まわりの、重なり合った庇が、独特の立面をつくりあげると同時に、出窓が明るい光を書斎に招き入れています。


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書斎の洋風「書院」とでも呼びたくなる窓と収納。


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天井のモールも、洋なのか、和なのか、、、
ガラス窓の格子割りも、個性的でモダンですよね。


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玄関ホールの天井は高く、ディテールにも凝った部分が見受けられます。



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実を言うと、このちょっと魅力的な「旧高田邸」は、住まいとしての役目を終え、近く取り壊しが決まっています。しかし、その前に図面を残そうと、今回は住宅医協会が実測調査に入ることになったのです。

本来は、住宅医の調査は、その後の適切な改修を行うためにするものなのですが、今回は残念ながら記録のみなんです。


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しかし、いつもの様に、床下や小屋裏にも入って、構造矩体の状態や劣化状況も調査。


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こちらは、玄関ドアの小窓。
セキュリティに配慮した、なかなかのアイディアもの。


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調査には30名近くが参加しました。
この日は、イベントもあり、見学者も多数ある中での調査でした。

旧高田邸については、今回の調査の中心の酒井さんがまとめた資料がありますので、こちらをご覧ください。


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この日の調査の記録や写真等を16日から展示します。

イベントは3月16日から25日まで。
この機会に、ぜひ国立の「旧高田邸」をご覧になってください。
住宅医によるトークイベントもあります!


「旧高田邸と国立大学町」85年の物語

チラシはこちらから。
http://takadagiichirou.tumblr.com/post/110337254772/85



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2014年12月30日

2014年仕事納め

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事務所は先週末で仕事納めだったのですが、実際には今日が最後となりました。
今日は、千葉の御宿まで材木を見にでかけました。



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ここで、千葉県産材の競りが行われているそうです。
実は、千葉も材木として使える山(丘?)の占める割合は7割近くあるそうなんです。


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今日は、山の所有者、製材所(千葉県産材を天然乾燥で扱っているそうです)、材木屋さん、工務店さん、お施主さんで、今回使う材を切り出した場所を訪ねました。

実に、緩やかな丘のような山で、道路も整備されており、とても作業は楽そうです。でも、実際に千葉ではなかなか地元の材が使われない状況になっているとか、、

林業の現場は本当に大変です。

でもこうやって顔の見える関係で家作りができるのは、良いと思いませんか?
お施主さんも、安心していただけたようです。

千葉、佐倉の家は来年早々に着工です。

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山に行く前に、ちょっと海岸に寄りました。
「月の砂漠」の彫刻のある美しい浜です。

お施主さんの息子さんは、無邪気に走り回っていました。
海って、本当に不思議な力がありますね。

さ、今年もあとわずか。

どうぞ、皆様も良いお年をお迎えください。
来年もよろしくお願い致します。


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2014年03月23日

群馬、瓦の里へ

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久しぶりに、群馬県の甘楽町を訪ねました。
ここには、変わり種の瓦やさん(?)で小林保さんという方がいます。瓦屋の4代目とのことですが、「屋根舞台」という屋号で、風前の灯火となっている群馬の瓦業を元気にしようと東奔西走している人です。

土曜日だけカフェ&雑貨ショップとして営業している、ご自宅にお邪魔しました。


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一時は建築設計をされていたというだけあって、センスのいい、大胆な玄関ホールです。


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今日はお施主さんが、ふらりと立ち寄られたようです。
屋根とも一生のおつきあいですからね。


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2階には、このあたりの作家さんたちの作品が置いてあります。タイルは女性の陶芸作家さんのもの。狛犬はフランス人のフォトグラファーさんの作品だそうです。

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ここは瓦のショールームでもあります。屋根に寄って様々、いろんな瓦が葺いてあるんです。

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デッキの下屋に葺いてあるのが、藤岡で唯一昔ながらの「だるま窯」で焼いている五十嵐さんの瓦。
手作りなので、ひとつひとつ表情もカッコも違い、実に味わいのある表情です。
ただ、葺くのに手間がかかる、瓦葺き職人泣かせだそうな。



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こちらはオリジナルの「離瓦」。なんと瓦と瓦の間にすき間が空いています。この部分は板金処理をしたり、ガラス等を入れたりすることが出来て、実に軽やかに葺き上がります。


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軒先はこんな感じです。


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こちらは、群馬で昭和30年頃までつくられていた「十能瓦」の復刻版「能瓦」だそうです。
軒先の納まりも、瓦の断面を見せる感じで、なかなかスマートです。



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瓦づくしの「甘楽商店」を後にして、小林さんと藤岡へ向かいました。


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だるま窯で昔ながらの瓦を焼いている五十嵐さんのところを訪ねました。
無造作に、瓦が積み上がっています。


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この日は残念ながらお留守だったのですが、主の居ない窯をちょっと覗かせて頂きました。
できたての瓦が、まだ窯の中に残っています。


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こちらは天日干し中。
昭和30年代には、藤岡には80軒以上の窯元があったそうです。
今は、ここだけ。しかもだるま窯は全国でも数基しかないそうです。
先の甘楽町の一軒と合わせて、群馬の窯元は今や2軒のみ。


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そして、近くの「鬼師」の山口さんを訪ねました。
そう、鬼瓦職人です。
まずは迫力の鬼達が迎えてくれました。

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工房には昭和の空気が流れています。


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床の三和土が良い味わいです。


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山口茂さんは鬼師5代目、生粋の職人さんです。
お母様はなんと来年90歳だとか。しっかりもののお母様の前では、現代の名工も頭が上がらないようです。


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山口さんが、ひとつ紋飾の型抜きを披露して下さいました。
粘土が、滑らかに流れ込む感じ。


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下がり藤の紋が、石膏の型から姿を現わしました。


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その土地の土にあった焼き方、そして練り方までが瓦の質を左右することに驚き、鬼師の技と心意気にすっかり魅せられた一日でした。

文化財も伝統もモノではないのです。それを創る人、それを創る道具も共に未来に引き継いで行かないと、、。

微力でも、何か出来ることがないかと、またひとつ課題を頂いて帰路についたのでした。


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2013年11月17日

秋の奈良路 

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太鼓橋の向こうには何が?

実は、11月2日からの連休は奈良に行っておりました。
毎年恒例、私もメンバーになっている木の家ネットの総会です。
ダイジェストで報告致します。

初日の集合場所は室生口大野駅。そして向かったのは室生寺。


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門の前で尺八を奏でる謎の人物。
実に境内の随所で生演奏が、、


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一枚皮を剥がされた桧です。ちょっと痛々しいのですが、この2枚目の皮が上質な桧皮葺きの材料になるそうです。丁寧に皮を剥がせば、樹木を痛めず何度でも使えるとか。まるで羊毛のようですね。
建築材料も自給しているわけです。


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国宝の金堂。プロポーションに見とれてしまいます。


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1300年の時間を経た五重塔は、さりげなく、静かにそこにありました。
近づくと、小さい。でも、遠方からの姿は堂々としています。
2年前の台風で破損した左側の軒先も、きれいに修復されています。


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更に奥の院へ。
石段に、息を切らしながら。


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奥の院の御影堂の屋根に、皆が注目。
板葺きですが、丸太で押えています。その断面がどうみても正丸ではなく、俵型。
なぜなんでしょう?


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建築関係者でお寺を訪問すると、建物ばかりに目がいってしまいます。
素晴らしい仏像も沢山あるのに、、、
また、今度ゆっくりきたいものです。

こちらは、板葺きがもうフワフワになっていて、立派なコケとシダに覆われています。
なかなか、放っておいてこうはいかないでしょうが、理想的な自然の草屋根です。

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参道もちょっとひなびていて、そそられます。
こちらは、ちいさなコーヒーショップ。


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夜は、勿論皆で宴会です。その時に、こんな余興もありました。
鼻笛作家兼演奏者である三重の池山さんと、その鼻笛の弟子たちの小さな演奏会。
楽しそうでしょう?私もそろそろ練習したくなって来ましたね。
年末には、毎年鼻笛で第9を演奏しているそうですよ。


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翌朝は、一応「総会」をお座敷で開催。
活動報告や、運営委員の交代などの連絡。
そして、各会員からは高知の沖野さんからは「原発ゼロの会」の報告がありました。
この「のぼり」いいですよね。西本願寺のお坊さんたちが制作したものだそうです。
私も、一枚分けてもらいました。


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さて、2日目は吉野の山に登るという事で、ちゃんと登山靴に履き替え、レインスーツも準備して臨みました。
予告の通り、厳しい上り坂。
「今、何合目?」「もうちょっとです。」
といわれながら、なかなかつきません。植林されたスギの合間を足元に気をつけながら。


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到着です!
樹齢400年の杉は、根元で直径2M近くあります。
これは保存樹木として、村が買い取ったものだとか。
宮大工の宮村さん、「これ、私が使いたい!」とかいって、離れようとしませんでした、、、(笑)


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最終日、薬師寺にやってきました。
ここでは、解体修理中の東塔を見学させてもらう事になっています。


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解体修理にとりかかって、4年。解体調査は後1年かかり、その後5年をかけて復元予定です。
心柱も上から見えましたが、継手としては、小さなホゾがずれ止めになっているだけだそうです。


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こちらは玄奘三蔵院伽藍。かの有名な三蔵法師の骨が祀ってあるそうです。
薬師寺は、東塔以外は全て復元されたお寺ですが、こちらは平成3年の建築。

ドライな中庭が、とても大陸的な印象でした。

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敷き瓦の文様は4枚で一組みになっています。


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そして、写経。
時間がなくて、なにやら心静かになるどころか、慌てて仕上げなければならず、、
筆も、最近あまり持っていないし、、、いけませんね。


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奈良の旅の締めくくりはやはりここ、法隆寺。

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軒を支える餓鬼たち。
千年もの間、ご苦労様。そしてこれから千年もよろしくお願いします。

何回きても見飽きない奈良。

再訪問を楽しみに、帰路についたのでした。










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2012年12月10日

Studio PRANAの日々是好日 

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最近ブログアップが少ないのは、進行中の現場がないからなのですが、設計段階ではどんな風にプロジェクトが進められているのか、ちらっとお知らせします。

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私のお気に入りの『イエローペーパー』でプランのスケッチ中。
ご依頼を受けて、一番最初の段階です。
要望をヒアリングし、法規的なことをチェックして、ラフプランを作成します。

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ざっくり、模型もつくって全体を確認。
この段階で、建て主さんに提案し、検討して頂きます。

こちらは先週の土曜日が打合せでした。

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そして昨日の日曜日。
例の軸組模型をつくった住宅の打合せです。
実施設計の最終段階にさしかかっています。
概ね図面も上がっているのですが、細かい仕様などを相談、確認するのがこの日の目的。

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建て主である若いご夫婦。「ねえ〜、どう思う?」などと仲睦まじくご相談中。

タイルや衛生機器などや、キッチンの仕様など決めて頂き、今週図面を追加修正して、週末には見積りに出します。

大屋根のシンプルなプランですが、なかなか素敵な空間になりそう。

さ、サクサク進めなければ、、、。






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2012年08月14日

またまた、温湿度計を設置に、、、 石神井の家

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旧盆で静かな東京。
今日は、「職人がつくる木の家ネット」が企画した『夏の温熱調査』のために、石神井の家を訪ねました。
あいにくの雨。気温はやや低めですが、蒸し暑さを感じます。

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アプローチは緑のトンネルをくぐるようです。今年は3年目の夏ですが、植栽がしっかり根付いています。

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北側の勝手口の外側には、フェンスに蔓ものを植えていらっしゃいます。ちょっとした目隠しになっています。

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石神井の家は南側に隣家が迫っているのですが、東、西、北は開けた角地にあります。
敷地条件により西庭をとったのですが、ベランダを設け、軒を出し、植栽や簾で西日を防いでいます。

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1階の居間から庭をみるとこんな感じ、緑が室内に映り込みます。
植栽のなかった1年目の夏は暑かったそうですが、昨年はゴーヤの緑のカーテンで日影をつくり、今年はカエデが成長したので、十分西日を防いでくれているそうです。

私も、居間でしばらく過ごさせて頂きましたが、なかなか快適でした。

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温湿度ロガー(自動的に計測して記録する温湿度計)を居間と寝室、そして外部の3箇所におかせて頂きました。

ちなみに、室内温度は28℃前後、湿度は60%台で、室内の壁や床,天井の表面温度も28℃。
夏場は24時間、どこかの窓は開けて風を通してお過ごしとのこと。

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記録用紙の書き方を丁寧に読んでくださっているご主人。
温熱調査に快くご協力いただき、本当にありがとうございます。
きっと、ご自宅の温熱特性を理解されて、住まい方の工夫にもつながることでしょう。

私も,しっかり結果を見極めて、今後に活かしたいと思います。




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2012年06月29日

さようなら、昭和の材木屋さん

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お世話になっていた都内の材木屋さんが、今月末で店じまいするとの連絡をもらいました。
一度、顔を出したいと思っていたところ、きょうはいつもお願いしている大工さんたちが片付けに入っていると聞き、訪ねて行きました。

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置いてあった道具を引き上げ、もう使えないような端材を処分するため車に積んでいる大工さん達。

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創業から65年という材木店。
いつも、ここにくると、昭和の空気を感じます。
なんか、時間が止まっているような、、。

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お茶の時間は、ここが休憩場所。
ずっとずっと昔から、職人さん達がここで、お茶の時間に煙草をくゆらしながら、談笑してきたのですね。
壁や天井は、すっかり「飴色」になっています。

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地デジに対応していないテレビ。もちろん、映らず、インテリア化しています。

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とっても、貴重な写真を見せて頂きました。
創業者である、今の社長のお父様。戦後、30代での起業だそうです。
若くも風格を感じます。すごいなあ。

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まだまだ、よさげな材料が沢山立て掛けられたまま。
使えるものは、出来るだけ使ってあげたいなあ。

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都倉棟梁と、カウンターに使えそうな桧の皮付きを選び出しました。
今やっている現場で使えたら、、と思っています。

将来、そのカウンターを見るたびに、きっとこの材木屋さんのことも思い出しますね。

こういう町場の材木屋さんが無くなってしまうのは、本当に残念、、、。


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2012年06月19日

原発のいらない家づくり&暮らし方

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今日は、私もメンバーになっている「職人がつくる木の家ネット」の最新コンテンツをご紹介します。

政府は大飯原発の再稼働を決定しました。
また、昨日は東京都議会で「原発国民投票」の条例制定が否決されました。
32万人の署名をもっても、都議会を動かせないというのは、残念なことです。

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今年の2月にも「いのちと共存できない原発はいりません!」とはっきり宣言し、その理由と私たちの考えをコンテンツで発信しました。

今回はその第2弾として、私たちが考え実践していること、これからの「むやみに電気に頼らない」暮らしを実現するための提案などがまとめられています。

1.「省エネ」以前に「低エネ」で済む暮らしを実現できる家づくりを!
2.世間で言われている「省エネ」やオール電化住宅は本当に「エコ」なの?
3.電気にしてもらわなくてもいい仕事とは?
4.電力だって、自給できるかも!?



日本の伝統的な住まいには、季節ごとに快適に過ごすための様々な知恵が詰まっています。
まずは、それを活かして、どうしても足りないところは、すこしだけ「文明の力」にお世話になればいいのでは?
木の家づくりをしていると、「省エネ」「CO2削減」と言う名のもとに、高気密高断熱、省エネ家電で埋め尽くされたの昨今の家づくりに違和感を感じます。

そんな住まい方だと、電気が足りない!と言われれば、一大事。しょうがないから、少々不安は残るけど「原発の稼働」もやむを得ないか、、ということになってしまいます。

太陽光発電の普及は、自然エネルギ–を使った発電が増えるという意味でも良いことだと思います。ですが、補助金をもらって住宅の上に載せても、基本的には売電用ですし、蓄電しなければ、災害時に自宅で使えるわけではありません。
また、災害時にインフラに問題が発生すれば、全く機能しなくなってしまいます。


今回のコンテンツでは、木の家ネットのメンバー達からの様々な問題提起や提案が満載です。
ざっとあげてみます。

「エコポイント制度によって、実は電力消費は増えた」
「シェアする暮らしが結果として省エネになった」
「熱をつくる仕事は電気以外で。太陽熱、バイオマスの利用」
「緑の力を借りて、夏を涼しく」

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最後に、私も大変注目している「地域での電力自給活動」である「藤野電力」が紹介されています。

ほかにも、「葉山電力」「町田電力」「幕山電力」など、着々と活動が広がっているようです。

さあ、皆さんもコンテンツを読んで、ご意見ご感想をお寄せ下さいね!

職人がつくる木の家ネット
「原発のいらない家づくり&暮らし方」
http://kino-ie.net/act_051.html






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2011年10月15日

震災後の東北を訪ねて(3)

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突然現れた、この建物に目が釘付けになりました、、、、。


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実は、これは石巻の熊谷産業さんの倉庫なのですが、被災して現在改修中とのこと。

熊谷産業さんは茅葺き、天然スレート葺きなどをされている屋根葺き屋さんです。
天然スレートは、雄勝町で今も生産されています。(東京駅の改修でも使われました)

しかし、壁を萱で葺いてしまうとは、、、。いいなあ。
なにやら、オランダから職人さんが来たそうです。

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これは北堺の集落で立ち寄った民家。屋根だけでなく、妻の部分も天然スレート葺きです。


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やはり、土蔵がかなり被害にあっていることがわかります。

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こちらは、この地方で多く見かける板倉です。
柱を細かく入れ(これは一尺五寸ピッチくらいでしょうか)その間に板が縦使いで落とし込んであります。
板倉は、比較的被害を免れたようです。

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佐々木文彦さんが増改築をされた、古民家を見学させて頂きました。
内部の立派な小屋組に、ため息、、。

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ノスタルジックなうちわ。
改修工事の際に、蔵から発見されたのでしょうか?


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最後に石巻市内へ。
これは、旧石巻ハリストス正教会教会堂です。
78年の宮城県沖地震後、石巻の旧北上川の中州に移築復元された木造の教会建築です。


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津波で冠水したにもかかわらず、どうにか持ちこたえています。

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この一帯は、地盤が80センチ程沈下したそうです。

川辺の遊歩道がすっかり沈んでしまっています。


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高台から眺める中瀬。
宇宙船のような建物が、石ノ森萬画館です。
ガレキもヘドロも、もう片付けられていて、一見平穏な場所のように見えます。.

復興は進んでいるのでしょうか?
沈下してしまったこの場所に、戻ることができるのでしょうか。

石巻市は復興基本計画をHP上にも公表し、プロポーザルで具体的な案を選び、現在話し合いが進められているとのことです。

「私たち、地元以外の人間に、何を手伝ってほしいですか?」
と、佐々木さんにストレートな質問をしたところ、
「よく聞かれるんだけども、、、う〜ん、なにかなあ、、」と
考え込んでいらっしゃいました。

ガレキは概ね片付いて、特に人手はもういらないとなると、私たちにできることはなんなんでしょうか?

答えはとても見つからないのだけれども、忘れることなく、いつでも力をかせるように、、、。

そうそう、1枚だけ宴会の写真をアップします。

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追分温泉での夜のごちそうです。
食べきれない程、、。このおもてなしの心に、感謝、感謝。

美味しい海と山の幸に舌鼓を打ちながら、東北の底力を信じた夜でした。

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2011年10月13日

震災後の東北を訪ねて(2)

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東北訪問2日目は、津波の被害を受けた沿岸部へ、、。

今回の木の家ネットの総会を、中心になってまとめてくださったササキ設計の佐々木文彦さんのご自宅があった石巻市北上町へと向かいました。自ら被災されながら復興のために現地で尽力されている方です。


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道中、私たちの目前にその津波被害の大きさをつたえるRC造、木造、鉄骨造の建物が現れ、皆息をのみました、、、。

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穏やかで風光明媚なこの場所で起こった悪夢をいやおうなくも思い出させられました。


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この日は、午前中に木の家ネットの総会+αがありました。(総会の様子は、また後でアップします)
会場は、佐々木さんたちが避難生活を送った、相川子育て支援センター。
その時の様子等を、自治会長の鈴木学さんと共にお話くださいました。

佐々木さんはお仕事で自宅を離れており、ご家族は避難されて無事でしたが、自宅と事務所は津波に完全に流されました。

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ここが佐々木さんの自宅兼事務所の跡です。
1階の事務所はRCなのでどうにかかたちは残っていますが、2階3階は全く跡形もありません。

現在は、NPOに貸しているとのことですが、今後再建するかどうかは思案中とのこと。

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水に浸かった書類を一部乾かし、少し復旧したとのことですが、パソコンに入っていたデータは全て失われてしまいました。


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トンネルの方へ抜けて行った、津波の勢いの凄まじさ、、、。


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石巻市は、仮設住宅等が整備されたとのことで、避難所が全て閉鎖されたそうです。(10月11日のニュースより)
地域の復興には、まだまだ時間がかかるのは確実で、その間をプレファブの仮設住宅で過ごすのはあまりにも過酷すぎます。

これは、工学院大学の後藤治先生が中心となって提案した、復興住宅です。
現在11棟が建設中。平屋と2階建てで、当面は賃貸とし、数年後には買い取りができるようなしくみを考えているとのことです。

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こういった、長期的に住むことができ、今までのコミュニティを継続できるような「復興住宅」のプロジェクトが進むことを望むばかり。

総会の2日間は盛りだくさんで、まだまだ報告したいことがありますが、つづきはまた次回、、、。


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2011年10月11日

震災後の東北を訪ねて (1)

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10月9日、10日の連休、震災後の東北地方を初めて訪ねました。
今回は、私もメンバーになっている「職人がつくる木の家ネット」の年一回の総会が開かれたためです。
震災から7ヶ月、さすがに平静さを取り戻してはいますが、様々なところに、その痕跡が残り、話を聞けば聞く程、その道のりの遠さを感じざるをえません。

まず訪ねたのが、石巻から北へ30キロ程のところにある「宮城の明治村」と呼ばれる登米町(とよままち)。

これは、国の重要文化財に指定されている、旧登米高等尋常小学校。明治21年に建築された洋風学校建築です。設計者は山添喜三郎。天井高さも高く、材料も厳選されており、工事費も当時としてはびっくりする額だったそうです。

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100年建っても、とてもいい状態だったそうですが、さすがに今回の震災で土壁がかなり落ちていました。


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その後の訪問したのが、同じ設計者の木造洋風建築の元警察署。現在は警察資料館として公開されており、当時の取調室や留置所も体験(?)できるようになっています。

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登米町は、伊達一門の葛西氏の居城があり、城下町でもあったそうです。
武家屋敷通りには、屋敷跡が今も残っています。

しかし、今回の震災で武家屋敷門などもかなり被災しています。


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手前の空き地にも、大きな蔵があったそうですが、既に解体撤去されていました。


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木の家ネットの仲間と建物を見ると、なかなか時間通りに進まないのが常なんですが、この日もあっという間に夕暮れになってしまいました。
最後に、横山不動尊に立寄り、宿泊地の追分温泉へ。

東北工大の高橋恒夫先生によると、気仙大工とは、現在の陸前高田市、大船渡市、三陸町、住田町、釜石市唐丹町などの旧気仙郡といわれる地域の大工職人を差すそうです。
その優れた技術をもって、東北のみならず、関東でも活躍した大工集団とのこと。
このお不動様の彫り物からも、その技術と心意気を感じますね。

そんな、職人たちがいれば、きっとかならず、地域を復興してくれることでしょう。

そう信じながら、みんなでお不動様にお祈りしたのでした。

つづく、、、、。



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2011年09月28日

UIA東京大会 最終日!

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今日のUIA東京大会では、ブータン王国のティンレー首相の講演がありました。
テーマは「サスティナブルな幸福な社会のための建築」です。

ブータン王国は、世界でも最も国民が「幸福」であると感じている国だと言われています。
その尺度となる国民総幸福量(GNH)は1.心理的幸福、2.健康、3.教育、4.文化、5.環境、6.コミュニティー、7.良い統治、8.生活水準、9.自分の時間の使い方の9つの構成要素で計られるそうです。(wikipedia より)

それをもとに、ティンレー首相は「人を幸福にする建築」として16項目をあげられました。
全てを正確にメモできなかったのですが、その根本には、目先のことだけ考えるのではなく、ずっと将来を見据えた「建築的行為」をしていますか?との共通の問いがありました。

「あなた方は、空間をデザインするのではなく、そこに展開される人生、ストーリーをデザインするのではないですか?」

「真の富とは、困難な時に役立つ、文化や文明、人が尊厳を持って死ぬためのもの」

言葉のひとつひとつが心に響きました。

「自分は沢山の人とつながっていて、なんて豊かなんだろう。」
これは、ブータンのひとりの子どもの言葉だそうです。

終ったとき、なにか背中に電気が走り、スタンディングオベーション。拍手が鳴り止みませんでした。

小さなアジアの国から、世界を変えるようなムーブメントが起こっているのかもしれません。

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他にも、友人にあったり、東京フォーラムを探検したりと盛りだくさんの一日でしたが、ハイライトでお伝えしましょう。

これはながしずてぬぐいプロジェクト。
https://readyfor.jp/projects/nagashizutenugui

ロビーで、学生さんたちが行き交う人にスケッチやメッセージを頼んでいました。
南三陸町の長清水集落の人たちを支援する活動です。
直接手伝うというより、皆で心を支えて行くような、未来に繋げるプロジェクトです。
私も賛同して、メッセージを書いたらこのカラフルな手拭を頂きました。


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丸ビル7階でやっている「東京2050//12の都市ヴィジョン展」は、それぞれの大学の研究室が、とても力を入れている展示でした。
これは、東大の大野研究室が提案するファイバーシティの一角にあった一文。

もっと、私たちは今ある問題を総合的に考えていく必要があります。
プロフェッショナルとして、何ができるのか、、、。

答えは、まだまだみつかりません、、、。
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UIA2011 東京大会

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今、東京でUIA世界大会が開かれています。
UIAとは世界建築会議、国際的な建築のイベントです。

私も、建築家協会のメンバーとして、裏方をちょっとお手伝いしています。

多くの興味深い講演、会議、展示、トークセッションなどが行われています。


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昨日は、SANAA(妹島+西沢)の講演もありました。
彼らの国際的に展開されているプロジェクトに、会場が息をのんでいました、、、。


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会場では、こんなデモンストレーションも、、。

主要な会議は今日一杯ですが、展覧会は今週末まで開催。

詳しいことは、UIA2011オフィシャルサイトをご覧ください。
http://www.uia2011tokyo.com/ja/


ラベル:UIA 建築
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2011年09月04日

木造は本当に燃えやすい? 

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黒い煙を上げ、燃えている動画。
これは、コンクリート造の部屋での燃焼実験の様子です。
いくら、構造体が耐火のコンクリートであっても、内装がプラスチック系の素材の場合、なんと数十秒で火と煙に巻かれて、この部屋に居た人はまず助かりません。

実は昨日、これ木連主催の勉強会に行ってきました。
今回は、木造の防火性能がテーマです。
これ木連というのは、「これからの木造住宅を考える連絡会」と言って、私も所属している木の家ネットを始め、6団体が情報を共有し、活動力をつけるためにつくられたネットワークです。

今回の講師は、木造防火研究の第一人者、建築家で早稲田大学の研究員でもある安井昇さん。
木造設計者の立場にたった実に内容の濃い講義でした。

建築のための法規である建築基準法をクリアするだけではなく、設計者として本当に「人の命を守る」ための設計をすること。これこそが、本当に重要なことです。そういった立ち位置からの研究内容に、とても感銘をうけました。

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この画像は、土壁の燃焼実験の様子です。
これを見て、土壁の防火性能の高さがよくわかりました。
燃えてもテラコッタになるだけで、反対側にはなかなか燃え抜けることはないようです。

厚みのある木材も、水分を有していることや、表面が炭化して熱を伝えにくくする性質から、簡単には燃え抜けないことが証明されています。

煙も、石油化学系材料が燃えるのと違って、白い水蒸気だけ。毒性はありません。

これらの実験によって、平成12年から準防火地域でも軒先を木で現すことができるようになったわけです。

安井昇さんのご実家は京町家だそうです。
自らの原風景への想いが、研究への熱意を奮い立たせていらっしゃるのでしょう。

これから、木造3階建の学校の燃焼実験をされるとのこと。

木造住宅の様々な可能性に加えて、木造の学校、木造の幼稚園(2階建て)等の実現にも期待したいと思います。

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2011年08月20日

飯能、西川材の材木屋さんへ、、

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金曜日は関東地方、お天気は荒れ模様でした。
豪雨の中、用事があって飯能方面へ。帰りに、西川材で有名な「岡部材木店」さんにお邪魔しました。

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裏山には白く靄がかかって、母屋の瓦が濡れ色に輝いています。

ここ、岡部材木店の女将である岡部知子さんは、木の家作りの仲間の間では、知らない人はいない有名人。
私も最近やっとお近づきになったところですが、とにかくすごい勉強家。木の建築塾なども主催している、活動的な女性です。

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この日は、息子さんの真人(まこと)さんが、作業場を案内して下さいました。
お母様に負けない、素晴らしい笑顔の持ち主です。
10年程大工の修行をして、実家に最近戻られたばかりとのこと。


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これが、西川材で定評のある「さわら」です。
耐水性は、桧以上とか。
素直な木目ですね。
右側は、「さわら」の原木。太いので樹齢50年くらいとのこと。

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岡部材木店は基本的にはすべて「天然乾燥材」だそうです。なので、こんな風に、様々な材料が高く積み上げられ、すっかり灰色になっています。話を伺うと、近隣の杉桧、さわらの他にも、欅、桜、松などかなり樹種は豊富です。
どうでしょう、木の力、感じませんか?


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お隣の、多摩産材もありました。
青梅と飯能は、山続き。東京か埼玉か違いはあっても、本当にご近所です。


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長もの、径の大きいものの他に,こんな特殊な材料もかなりストックされています。

真人さんと話をしながらも、ここの材木屋さんは、合理的に材料を供給するというよりは、作り手の為に、材木を用意してくれているんだと感じました。個性的な木の家づくりをしている仲間達が、材料を見ながら想像力を膨らませることが出来る、そんな空間です。

なるほど、木の家づくりの仲間達に評判なのも納得。

この日、ヒマラヤ杉の板を初めて見ました。
杉と呼ばれながらも、実は「松」の仲間だそうです。とても、良い香りがします。
探したら、やっぱりアロマエッセンスにありました。



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事務室の外に置いてあったベンチ。
時間のたった木の素朴な美しさが、そこにありました。
奥深い、木の魅力。まだまだ、知らないことばかりですね。





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2011年08月11日

「木と土の家 温熱研究会」@藤野 里山長屋

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8月9日、私もメンバーになっている木の家ネットの有志による「木と土の家 温熱研究会」がありました。
場所は藤野。メンバーの一人であるビオフォルム環境デザイン室の山田さんのご自宅「里山長屋」にお邪魔しました。


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実は私は訪問するのは3回目。
半年経って、菜園の工事も進み、草屋根も賑やかになりました。

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ここは、様々のことを共有しながら、4世帯がまさに「長屋暮らし」をしているのですが、環境への試みも満載。
たとえば、この手こぎポンプは、地下に埋めてある雨水タンクの水を組み上げています。


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午前中はコアメンバーで下打合せ。ここは、山田さんのご自宅のダイニング。裏の林の緑が、とっても気持ちよくて快適です。
私たちがミーティング中、奥様の愛さんは、お庭の菜園でひと仕事。おしゃれに楽しんでいらっしゃいますね。


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さて、午後はコモンルーム(長屋の共有の居間)をお借りして勉強会。
この日も大変な猛暑。
実は、冬の蓄熱のための土間にまだ日よけがつけられていなくて、かなりの暑さ。
障子をしめて、輻射熱を防ぎます。


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この日は室温も30度を超えていました。
日射を受けた瓦タイル敷きの土間は、表面温度が50度近く。
ところが、北側の浴室の床は22度です。
北側の部屋にいくと、本当にひんやり。
壁の表面も室温より低く、涼やかに感じます。

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山田さんのお宅は、工学院大学の環境工学の研究室が、土壁内等にセンサーを入れ、3月から測定を続けています。
窓の上枠から下がっているのは、風速計だそうです。

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この日は、山田さんから建築についての説明ののち、20名ちかい参加者で見学し、その後3月以降の測定データを、研究室の学生さんが発表してくれました。

これは3月のある1週間のデータですが、断熱材の内側、土壁内と、内側になるに従って温度の触れ幅が小さくなってきていることが読み取れます。
室温は、とても安定しており、快適そうですね。

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最後は、「改正省エネ法」「土壁の家の断熱気密」「木の家の住まい方」などをテーマにワールドカフェスタイルでのディスカッション。

2グループに分かれて討議したのですが、結局行き着いたのは、木の家は「総合的な評価」がされるべきではないかということ。

これはデータや数値で語る「性能」だけで良い住環境はつくれない、社会や周囲の環境への影響、身体への影響なども含めて考えるべきだということなんですが、どうやって進めたらいいのかは、もっと議論を重ねて行かないとなりません。

暑さや寒さを、様々な工夫や五感を駆使しながら過ごしてきた過去の知恵や、捨てるものはなにもなかった、そんな循環する暮らしも含めて見直すと、木と土の家の魅力はきっと伝わるのではないでしょうか。

皆さん成果がお見せできるよう、この研究会は今後も継続して行く予定です。

またご報告致します!


余談:パーマカルチャーセンタージャパン

山田さんが理事をしているパーマカルチャーセンターの施設と畑を見学させて頂きました。

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民家に手を入れて、勉強会や合宿などをしています。

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家を直したり、コンポストトイレをつくったり、畑の小屋を造ったりするのも実習のうちだそうです。
鳥小屋、果樹林などが一緒になった、とっても野性的な畑です。


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土でつくったオーブン。ちょっと雑草がはえちゃってます、、。
除線の為にひまわりを植えたそうです。久しぶりに見る、大きなひまわり。
今年育ちがいいのは、セシウムはカリウムに、ストロンチウムはカルシウムと化学的に近いからじゃないか、、という説も?!


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近くで立ち寄った神社。
なんと、回り舞台が仕込まれてます!

突然現れた大きな神楽殿に、思わずシャッターをきりました。

藤野には、まだまだ魅力的な場所がありそうですね。




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2011年07月14日

実家のプチ改修

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今日は、都倉棟梁が実家(Studio PRANAの事務所は実家の上にあります)でちょろっと改修工事をしてくれてます。
実は、妹が京都に引っ越してしまい、その部屋を今度貸すことになりました。

一階の両親宅と内階段でつながっているため、「これじゃあ、よそ様には貸せないね」と、目隠しになる程度のスクリーンを杉板でつくってもらうことに、、、。



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とりあえず、今日は下地のみ取付。

スクリーンといっても、上部はあいてます。階段が通風上、とても役に立っているので、完全には閉じません。


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畳の表も替え、障子も張り替えて、新しい住人を待つばかり。

実は、私の後輩カップルが引っ越して来ることになっています。

ご近所付き合いが、とっても楽しみです。



ラベル:家づくり 木の家
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2011年04月27日

築80年の住宅、改修現場を見学

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苔むした庭、素敵です。
実は、いつもStudio PRANAの仕事をしてくれている町家大工都倉さん、鈴木組さんが、築80年の住宅の改修にかかっていると聞いて、見学に寄らせてもらいました。

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ここは、以前にもブログにちらっと載せましたが、Studio PRANAの仕事も手伝ってくれた後輩の実家です。
お父様の書斎と彼女のアトリエに改修とのこと。
現在、スケルトン状態。


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鈴木組さんは、昔は曵家(ひきや)もしていたとのことで、年季の入ったジャッキが使われてます。
今回は建物は移動しませんが、建物を持ち上げて、土台を取替え、基礎も全て新設するとのこと。

こういう現場はなかなかないので、また見学に寄らせてもらいますね!


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2010年08月25日

「木と土でつくる家」の温熱環境研究会に行ってきました

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昨日は、猛暑の中名古屋へ行ってきました。
私もメンバーになっている「職人がつくる木の家ネット」で『木と土でつくる家の温熱環境を考える』という研究会があったからです。

会場は、愛知産業大学准教授、宇野勇治先生のご自宅。
伝統構法でつくられた土壁の家で、温熱環境としても様々な工夫がされています。

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南側の緑のカーテンの御陰で、一階の和室はこんな感じで涼やかです。

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伝統構法の家は「スカスカ」で気密性がないと言われますが、さて宇野邸は?と、朝から気密試験が行われました。

一時期、窓を閉め切ったので、みんな汗びっしょりに、、、。

結果としては、もちろん高気密ではありませんが、ほどほどの数値が出たようです。

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この、爆弾のような物は放射温度計です。
周囲からの放射熱を受け、球体の内部が何度になるかを図るもの。
この温度が、人が感じる「体感温度」に最も近いそうです。

これを室内や室外に置き、放射温度計をもって測定しました。

外部:気温36.5度 湿度41%  球内温度 47.5度
室内:気温32.1度 湿度55%  球内温度 32.5度 (1階)
   気温32.1度 湿度56%  球内温度 31.9度 (2階)

室内の土壁の表面温度はほぼ29度で一定でした。エアコンはありません。扇風機のみです。
じっとしていれば、さほど汗も出ません。私には十分快適でした。

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屋外の地表温度が60度近くまで上がる中、緑のカーテンの内側は30度〜35度の範囲です。
植物は当然として、三和土の土間の表面温度がこの程度に抑えられているのは、驚きでした。

午後は、京都府立大学の尾崎明仁先生の「蓄熱・調湿のメカニズム」のお話と、宇野先生の「伝統構法住宅の環境調整手法』についてのお話を伺いました。

高気密・高断熱は、確かに省エネ観点からは良いのかもしれませんが、そればかりもてはやされるのはどうなんでしょう?
伝統構法の良さを生かした家づくりをしている作り手からすると、「ちと、ちゃう?(なぜか関西弁)」ってみんな感じているんですよね。

コントロールされた環境に身を置く事、楽で快適な環境を常に求めることは、長い目、広い目、深い目で見て本当に良い事なのでしょうか。

お二人の研究者のお話を聞きながら、様々考えさせられました。

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最期に、みんなで流しそうめんに舌鼓。

暑い日の夕暮れに、この涼感!

会場を提供してくださった宇野先生始め、セッティングしてくださった皆様、ありがとうございます。

こころもあたまもリフレッシュした一日でした。
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2010年06月29日

行き着くところは、土壁なり

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ー便利なものは不便であるー 

私が古民家再生をして、教えられたこと。

たとえば、電動の鉛筆削り。これはコンセントに差し込まないと動きません。でも、ナイフでだって鉛筆は削れます。停電していても大丈夫。しかもナイフは他のものだって切れます。電動鉛筆削りは他の用途には使えません。

住むことも家をつくることも、便利で簡単、楽をすることばかり考えるのはどっかおかしいなあ、と。

古来から日本の民家は地場の材料でつくられてきました。
土、竹、木、紙、すべて土に返る素材です。

「古くなった畳は田んぼに入れとけば、肥やしになる」と聞いたとき、都会育ちの私は目からウロコでした。

とにかく、ゴミになるようなものは使われていないです。

「これこそ、本物の環境共生住宅じゃない?!」

それ以来、木組みを活かした住宅を設計しながら、「いつか土壁を東京で」と思っていました。


5年前に「草屋根の家を設計してほしい。エアコンなしで暮らしたい。」との依頼があったとき、「これだ!」と思いました。

珪藻土やら火山灰いりの塗り壁など、調湿、消臭効果があると唱って出回っていますが、ボードの上に数ミリ塗って、どれほどの効果があるのか、、、。

夏場に民家に入った時の、ひんやりした感じ、夏を旨として建てられた家、それに少しでも近づけたいと、土壁を提案しました。

土壁は、土をつくるところから始まり、竹で小舞をかき、荒壁をつけ、十分乾かし、それから中塗り、仕上げと時間もかかります。

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これは、その時の作業風景。
小舞かきは、東京ではかなり珍しいので、大工さん仲間も一緒に作業。
少し器用な人なら、誰でもできます。建て主さんも、家づくりに一緒に参加できる、楽しい作業です。

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下地とはいえ、竹と縄で編まれた格子は美しいですね。

お茶室で下地窓として、一部見せることを思いついたのも、納得できます。

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まずは、「荒壁」といって、土を竹の間に塗り込めます。
これも、けっこうセルフビルドでやっている人たちもいます。
ここの左官工事は、いつもお願いしている江原さんなので、土は群馬県藤岡産です。

藤岡はもともと瓦の産地。つまり、よい粘土質の土が採れるんです。

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土が内部にはみ出してますね。これで土がぐっと竹に食いつきます。

40〜50年くらい前の住宅で使われていた穴のあいたラスボード。この小舞の作業を省くために考案されたのでしょう。そして、左官仕上げは、薄く塗るだけの「化粧」へと進化したわけです。

でも、そこで、何か大切なこと、置き忘れてきてしまったみたいです。

それは土が持っている、「働く壁」としての性能です。(「働く壁」については、過去ブログ「暑さ寒さとつきあう知恵」にも書いています
http://pranablog.seesaa.net/article/118497045.html#more

しっかりと施工された土壁の耐力は、近年科学的に証明されています。

厚みのある土の調湿作用や蓄熱性など、優れた点も再評価されています。

そして、何でできているかわからない建材ではなく、「土」に包まれているというのは安心ですよね。

江原さんのところでは、土に混ぜるワラスサは、無農薬のものだそうです。繊維がしっかり残って強度がでるとのこと。

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荒壁は乾かして、しっかりひび割れをおこさせてから、中塗り、仕上げという工程を踏みます。
確かに、時間はかかります。

でも、これから何十年と住むことを考えれば、数ヶ月を急ぐのは、どうなんでしょうか。

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こんなふうに、東京でも外壁を板張りにすることができます。(武蔵野・草屋根の家 撮影:畑亮)

土壁には、防火の性能も認められているからです。

様々なメリットのある「土の壁」。

もっともっと、普段使いの素材になってほしいですね。


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木の家ネットでは、最新のコンテンツで土壁を取り上げています。
木の家そもそも話「土壁の魅力」
http://kino-ie.net/somosomo_071.html

こちらもどうぞご覧ください。



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2010年05月24日

東京・森の学校 靄立ち上る森の魅力

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白く靄の立ちこめた竹林。

今日は、木の家ネットの仲間達(有志)で東京・森の学校の視察に行ってきました。

東京あきる野市の林業家が、山を知るためのフィールドとして提供している、とっても美しい森です。

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ここが、森の入口。
なにか、もののけを感じませんか?


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50年以上の樹齢の杉や桧。

新緑が輝く、透明な沢。わさびの栽培もしているようです。

先週から腰痛に悩まされていた私ですが、なぜか森の中は何の痛みも感じずに、全行程歩ききりました。
これこそが森林療法??でしょうか。


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孟宗竹は建材にはあまり向かないそうですが、なにか活用方法ないものでしょうか。

タケノコを皆で収穫。

里山の春の味覚を抱えて、帰宅。

何度でも訪ねたい、魅力的な森でした。


posted by mikihayashi at 20:03| Comment(0) | TrackBack(0) | 木の家のはなし | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2009年11月29日

ニッポンの木組みの家がつくれない?

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これは、今日の朝日新聞に掲載された記事です。
かなり専門的な内容なので、少々解説をします。

日本の木造建築は、様々な地域の気候風土の中で、大工棟梁が工夫を凝らしながら発展させて来たものです。
今も残る美しい建築群。日本の建築は木造が基本ですよね。

ところが今はその「伝統的な木造の構法」では普通には建てられないことをご存知でしょうか?
建てられない訳ではありません。他の工法の様には建築基準法でしっかりと位置づけられていないため、建てるためには大変な手続きやら手間が必要なのです。

もちろん、既存のそれらの「美しい木造建築」にも法律的には「既存不適格」というレッテルが貼られています。

そんな状況は耐震強度偽装事件以降の「法の厳格化」でますます厳しくなりました。

それを改善しようと、昨年の春、国土交通省が設計法づくりの検討委員会を設けました。
そこには実務者として建築士や大工も加わっています。

ところが、、、です。この検討委員会は、中核の研究者主導ですすめられ、実務者の意見がなかなか反映されなかったのです。

実務者達は陳情を重ね、今回政権交代によって、ここへきて大きくこの問題へ光が当てられるようになりました。

匠の技を活かし、その技術を未来へつなげるという、このあたりまえなことができない今の法制度。

一刻も早く改善してほしいものです。

木を活かしたいえづくり、伝統構法、それらがぶちあたっている問題などは、私もメンバーになっている「木の家ネット」のページで詳しくご覧になれます。

http://kino-ie.net/

また、現在「職人がつくる木の家」づくりを未来につなげるアンケートも募集中!
http://kino-ie.net/report_091.html

こちらもどうぞよろしく。




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2009年10月29日

長期優良住宅ってなに?

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10月28日、日経新聞の記事です。
住宅の耐震性を試すための振動実験で、震度6強に耐えるとされている「長期優良住宅」が倒壊したという内容です。

実験の動画映像もweb上にアップされています。
http://video.fc2.com/content/09.10.27%20E-%E3%83%87%E3%82%A3%E3%83%95%E3%82%A7%E3%83%B3%E3%82%B9%E5%85%AC%E9%96%8B%E5%AE%9F%E9%A8%93/20091028cub1DWTK/


実はそれよりも柱や梁の接合部ががっちり金物で留っていなかった同じ建物の方が、形をとどめています。

これは何を示したのでしょうか?

わたしもメンバーになっている「木の家ネット」では、日本の伝統的な木構法の様々な優れた面を伝えようとしています。
その一つが、金物で固定しない事に寄る、地震力の分散、ある意味での免震効果というもの。
ところが、今の構造研究者はとにかく金物などをバシバシつかって「固める」ことばかり考えているようです。

100年200年も住み継がれてきた民家こそ、本物の「長期優良住宅」ではないですか?
その知恵を活かさない、活かせない今の法規、間違っていませんか??

posted by mikihayashi at 10:52| Comment(0) | TrackBack(0) | 木の家のはなし | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2008年06月11日

webマガジン「おひさまスタイル」に掲載されました

武蔵野・草屋根の家がウェブマガジンに掲載されました。

http://ohisamastyle.jp/column/ecohouse/ecohouse04_01.html

ライターの箕輪さんは、草屋根のクライアントとは実は「犬友」だったという奇遇。

気持ちのつながる人は意外に近くにいるものですね。
posted by mikihayashi at 11:25| Comment(0) | TrackBack(0) | 木の家のはなし | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2007年06月26日

暑さ寒さとつきあう知恵 

東京の気候風土

私が生まれ育ち、今も生活をしている場所は東京です。地方の仕事も多いので、その土地の気候風土に根ざした民家の作りなどを参考にして設計に取り組んでいます。
(写真は屋久島の家です)

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しかし、逆に東京はどちらかと言えば気候風土としては厳しくはなく、それよりは密集した狭い敷地で、周辺や隣家との関係の中で、いかに採光通風を取り込みながら、より広く空間を使い、あるいは広さを感じさせるかが設計者の腕の見せ所となっているのではないでしょうか。

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気候風土が一番きつく感じられる季節

とはいえ、このように地球規模で温暖化が進んだ今、特に夏の都市部はアスファルトの道路、コンクリートの固まりの建物などが蓄熱し、また空調機その他による廃熱で年々気温が上がっていることをひしひしと感じます。やはり、一番つらいのは夏でしょうね。今や皆、夏を旨としないエゴな(設備に頼り、高気密高断熱な)住宅でそれを乗り越えようとしているのが実情だと思います。

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気候風土に関して一番気を配っていること

東京で心地よく暮らすには、猫の額のような自分の敷地だけではもはやどうしようもないと思っています。周りの環境がより改善されない限り、東京生活の未来はない(!)のではないかと。つまり、一つの住宅から始めて周囲へ、街へ、東京へ、日本へ、地球へとつながっていく、そんな気持ちで提案をしていきたいと思うのです.今、東京で一番気を配っていることは夏場の外気温を下げ、東京の空気をきれいにすること、風の道をつくること、水を土に帰してあげることでしょうか。

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posted by mikihayashi at 14:30| Comment(0) | TrackBack(0) | 木の家のはなし | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする